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スーツのリフォームを頼む前に知っておくべきポイント5選

古くなったスーツを着用する為にはどうすれば良いのか。
多くの方が「スーツのデザインとサイズを今の自分の体型に合わせる」といった方法を取ります。
これをスーツのリフォームやリメイク、もしくはお直しと言います。

スーツのリフォームはご自身でやるとなると、それ相応の技術と時間が必要です。だからこそ多くの人がプロにリフォームを頼みます。
しかし、お直し専門店ではあなた自身がリフォームしてほしい箇所を伝えないといけません。なぜなら指定した箇所によって、料金が変わってくるからです。

例えば絞ったジャケットのデザインにしたいので、腰回りを詰める注文をした。完成したジャケットは、イメージしていたデザインとは異なるジャケットだった。なんてこともあります。
ではお店が悪いのか?いいえ、お店は注文通りに作業したので何も間違えていません。
むしろ絞ったデザインにする為に腰回りを詰めるだけでなく、他の箇所も少しずつリフォームした方が良いのか相談しなかったのが間違いだったのです。
衣服の構造を知らない方がイメージだけで注文すれば、失敗するのは当然です。

せっかくプロに頼むのに、イメージと違うデザインになったら悲しいですよね?そんな方のために今回はプロに頼む前に最低限知っておくべき5つのポイントをお伝えします。
これを見れば、お直しのプロに頼んでも失敗することが少なくなります。それだけでなく、どんなお店に頼むべきかもわかります!
知らなったでは勿体無いです。スーツのリフォームやお直しと聞いて自分のスーツを思い浮かべた人は確認してみてください。

ジャケットの腰回りだけ詰めるのはNG

ジャケット ウエストライン

最近のスーツに多い、ウエストが絞られたジャケットデザイン。
ウエストを詰めれば絞られたデザインになると思い、注文してしまいそうですよね?
冒頭でもお話した通り、ウエストを詰めるだけでは絞られたジャケットデザインにはなりません。
正確にはウエストではなくウエストとバストの間の「中胴」と呼ぶ場所を絞る必要があります。
2つボタンシングルジャケットの一番上のボタン位置とほぼ同じ箇所です。

中胴を絞ることで袖の付け根からウエストにかけて、キレイな曲線で絞られたジャケットデザインになります。
※このラインのことをウエストラインと呼ぶ場合もあります。
無理に絞るとボタンを留めた際、周りにシワができてしまいサイズが合っていないジャケットになってしまうので、どれくらい絞るべきかプロと話をしながら決めてください。

腰回りだけ出すのも注意が必要

ジャケットのボタンを留めると、きつく感じるので腰回りに少しゆとりを持たせたい。このような悩みを持つ方もいらっしゃいます。
もしウエストラインのカーブもキープしたいのであれば、逆に中胴だけでなく、ジャケットのヒップ(上着裾周り)も少し出します。

ジャケットのダーツ
ジャケットの真ん中だけ太くすると、寸胴のようなデザインになってしまいます。それを避けるためです。
もし、寸胴デザインが好きという方は必ず意図をお店に伝えてください。ダーツ(写真の青で囲まれた前身頃のつまみ)があれば前身頃のダーツを無くし、アメリカントラディショナルのようなデザインにしてくれるはずです。

ジャケットの腰回りを広くしたい場合は、参考にしてみてください。

袖出しは1~2cmしか伸ばせないことが多い

ジャケット袖のリフォーム

今までは気にならなったが、ジャケットの袖の長さが短い気がする。そんな時は袖を長くできないかを考えます。
現在の状態から大きくすることを、お直しでは「出す」と表現します。これは糸をほどき、縫い込まれている生地を出すことでサイズを大きくすることができるからです。

スーツジャケットの袖を長くするには袖口の余り生地を出し長くします。
基本的には1~2cmほどしか出せないので、あまり大きな変化を期待しない方が良いです。それくらい袖の余り生地は少ないのです。

絶対に1~2cm以上は出せないのか

2cm以上出したいが、袖出しでは1.4cmしか出なかった。と諦めてしまう方も多いのですが、実は別の箇所をリフォームすれば2cm以上出すことが可能な場合もあります。
それは「肩」です。ジャケットの袖はそもそも肩と接合されて、初めて袖の機能を発揮します。
その接合の元である肩から生地を出せば、更に伸ばすことが可能です。

ジャケット 肩 お直し

もしあなたのジャケットが肩パットの入っているデザインであれば、パットを抜いてあげることで数ミリ袖の長さを伸ばせます。
正確には伸びたのではなくパットの浮いていた分が下がったことにより、以前に比べて袖先の位置が下がり、ワイシャツの見える巾が減るのです。

この二つの方法で解決できることもありますが、どれくらい出せるかは実際に見てみないと分かりません。
まずはリフォームに持っていき、何cm出したいのかを伝え実現可能かを確認しましょう。

お尻のダボつきを無くすために、股上をいきなり浅くするのは注意

最近の日本のパンツシルエットに多い、股上の浅いパンツ。股上とはベルトの上の部分から股別れのとこまでの距離のことで、昔のパンツはここがダボついていることが多いです。

格好良いピタッとしたデザインにしたいので、股上を浅くしてください!と注文する方が多いですが、これは注意が必要です。
理由は、機能性がとても落ちるからです。
例えば男性は用を足す際にチャックを降ろします。しかし、股上を浅くするとそのチャックがいつもより上に移動するので、用を足しずらくなります。
それだけ?と思うかもしれませんが、急いでいる時に降ろしずらいのは意外と嫌なものです。しかもそれが毎回続く訳ですからね。
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だからこそ、安易に股上を浅くすることは危険なのです。では格好良いシルエットのパンツを諦めなければいけないのか?そうではありません。
ヒップを少し詰めて、股上は適度なゆとりを残せば機能性を落とさずスマートなシルエットのパンツにお直し可能です。

頼めば必ず採寸してくれるはずです。面倒ではありますが、必ず時間をとって相談してみましょう。

スマートなパンツスタイルを実現する3つのリフォームポイント

スマートなパンツを好む方の多くは、「もっと太ももを細くみせたい」といった悩みを持つ場合があります。
スーツを着用して全体を見下ろすと太ももが最初に目に入るので、一番気になってしまいます。

その悩みを解消する為には、3つの箇所をお直しする必要があります。
それは「ワタリ巾(太もも)」「ヒザ巾」「裾巾」の3つです。あなたの体型を元に3か所のリフォームをするだけで、スマートなパンツスタイルになります。

例えば、ワタリに余裕がないのであれば少し出し、裾巾は詰める。すると足元に向けて細くなっていくので、スマートな印象になります。

ピタッとしたパンツを履けば細く見えるのではなく、あなたの足の太さに合わせてリフォームし直すことでその悩みが解決されるのです。

裾だけを極端に細くした時に起こりうること

最近は注文服でない吊るしのスーツでも裾だけ細くしたり、シングルカフスをダブルカフスに変更する等オプションは豊富です。
しかし、裾をあまりにも細くしてしまうことは注意が必要です。なぜなら、あまりにも細い裾巾は貧相な印象を際立たせるからです。
そもそもスーツはエレガンテの印象を基本とする衣服です。決して安い買い物ではありません。
裾巾を小さくすることは、せっかくお金を出して購入したスーツの価値を自ら下げることに等しいということです。

ではどれくらいの長さにすればよいのか。
多くの人を仕立て現代の流行りも考慮した持論ですが、ヒザ丈から-1~2cmが平均的にキレイに見える裾巾と私は考えています。
もちろん人によって差はありますが、基本的にはこの差で十分に細くてエレガンテなパンツスタイルになります。

裾を細くして足を細く見せたいあなたの理由もわかります。しかし、こちらはプロです。
プロの意見を鵜呑みにするのは良くないかもしれません。せめて、なぜこれ以上小さくしてはいけないのか理由をプロに聞いてみても良いかもしれませんね。
それでも納得できなければ、思い切って細くする。もしくは答えたテーラーの能力が足りないだけです。

実は危険!1cmのお直しを希望なら、むしろしない方が良い

ウエスト 1cm リフォーム

1cm未満のお直しを仮におこなったとしても、着用時にそこまで差を確認できないことがほとんどです。
差を感じないのであれば、お直しするのは勿体無いですよね?それを素直に教えてくれるお店は良い証拠です。

あなたがどうしても、1cm未満のお直しを希望なのであれば、思い切って1cm以上リフォームすることをオススメします。
ゆとりがほしい、ウエストを詰めたい、どちらにしても違いを感じなければお金をかける意味がありません。
意外と知らないことなので、気をつけてみてください。

まとめ

いかがだったでしょうか。
パンツのウエストがきつい、袖が長くて仕事に支障がでるなど、着心地を変えるお直しであれば「5つのポイント」を気にすることはありません。
しかし、格好良いスーツにリフォームしたい、もっとスマートなデザインにしたいなどの要望があれば、しっかりと提案してくれるお店に出すべきです。

例えば、「自分の持っているスーツのどこを変えれば格好良いスーツになるのか」または、「スマートに見せるにはどこをリフォームすれば良いのか」など、漠然とした質問に対してしっかりと提案してくれるお直し屋のことです。

どのお店だと信頼がおけるのかをチェックする為にも、ご自身のスーツを持っていくことをオススメします。
あなたにとって信頼のおけるお店が見つかるお手伝いになれば、私も嬉しいです。