オーダースーツの豆知識

ポリエステル混紡の生地の違い・メリット・デメリットについて解説【スーツ用語解説】

スーツの生地において、「ウール100%」が代表的ですが、ポリエステル50%、ウール50%などの混紡(2つ以上の質の違う繊維を混ぜて糸をつむぐこと)スーツも見かけることが多いと思います。

ここでは、ポリエステルとウールの混紡生地によるスーツのメリットやデメリットをわかりやすく解説していきます。

 

ポリエステル混紡スーツのメリット

まずは、ポリエステル混紡スーツのメリットについて、解説していきます。

☝生地が丈夫

ポリエステルの一番の強みと言っていいのが、「ポリエステル生地そのものの耐久性が高い」ことがあげられます。そのためウール100%のスーツに比べ、長持ちしやすく、シワもできにくいです。おすすめはできないものの、仕事で頻繁に着用する場合などでは重宝します。

 

☝速乾性が高い

ポリエステルが混ざった生地のほうが、ウール100%の生地に比べ「水にぬれても渇きが早い」という特徴があります。これは、ポリエステルは吸湿性(湿気を吸い込む性質)が低いため、速乾性が高いです。

 

☝値段が安い

ポリエステル素材のスーツは安く購入できる場合が多いです。素材となっている生地そのものが安く取引されているため、安く買うことができるスーツは、ポリエステル素材が混紡されている生地の場合が多いです・

 

 

☝管理が容易

ポリエステル生地は、害虫やカビの影響を受けにくいということも挙げられます。害虫は主に動物性の繊維を好んで食べることから、ポリエステルが混紡されていたほうが被害を受けずらいです。

しかし、被害を受けないというわけでなく、皮脂や汗が付着しているとその部分が被害を受けることは十分にあり得るため、保管する際の管理はしっかりしておいたほうがいいでしょう。

 

 

 

ポリエステル混紡の生地が高級スーツで使われない理由

次に、ポリエステル生地のスーツのデメリットについてみていきましょう。

 

☝高級感が出ない

生地の光沢感がウール100%のものと比べ低く、高級感がでにくいです。直接生地を見ていただけるとわかるのですが、数値では表せない生地の質感などでポリエステルが劣っている場合が多いでしょう。高級スーツでポリエステル混紡生地を目にする機会は多くはありません。

※一部高級なポリエステル混紡生地も存在します

高級芯地との相性も△

高級スーツでは、衿などに使用される芯地に、通気性があるほか、型崩れもしにくく、立体感のある仕上がりになる馬の毛などの「天然の芯地」が使用されることが多いです。この高級な天然の毛芯とは、天然100%の素材が相性がいいことも、ポリエステル生地が高級スーツで見ない要因となっています。

 

☝一度しわができてしまうと取れにくい

しわそのものは、ウール100%のものに比べてできにくいですが、一度しわができてしまうと、なかなか取れにくいという欠点があります。

ウール100%の場合しわはできやすいものの伸縮性が高いため、着用後2日程度おいておけば、生地そのものの重さで自然としわがとれてきます。

また、「毛玉」もできやすくなってしまいます。

 

 

☝静電気がたまりやすい

ポリエステル生地のスーツは、静電気がたまりやすいという欠点があります。吸湿性が高いというメリットの裏返しともいえるのですが、空気が乾燥しやすい冬は得に注意が必要です。

☝熱がこもりやすい

生地の折り方にもよるため一概には言えませんが、ポリエステルの割合が高いほど、スーツの内側に熱が こもりやすくなるあめ、湿気を苦しにくくなり、熱がこもりやすくなってしまいます。

デザイン用としてポリエステルが使用される場合もある

ストライプ柄の生地で、ごく少量のみポリエステルを混紡していることがあります。ポリエステルを混紡させることによって、色のコントラストをはっきりさせることが可能です。そのため、こ0.2%程度のポリエステル混紡のスーツの場合、デザイン目的でポイエステルが含まれている場合があります。